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2007年1月 6日 (土)

夜の初産牛出産!

12月30日の分娩予定だった初産牛の「リンダ」が、予定日を過ぎ、1月3日から産みそうかな~?って気配だったので、夜中(1時や3時)にも起きて、牛舎へリンダが産みそうじゃないか確認に行ってました。

しかし、分娩する様子はナシ。

初産牛の分娩日が予定よりも遅れることは、よくあることなのですが、今回は毎晩がソワソワ・ハラハラ・・・

それは、おなかの中の子牛がETの黒毛牛なのです。(ET牛出産の別の記事はこちら

この子牛の引き取り先は事前に決まっているので、うちの牧場の子じゃなくて、肉牛の牧場の子なんです。

人の子牛となると、分娩事故で万が一のことがあってはすまない。なおかつ、黒毛牛は乳牛よりも高価。なにかあっては大変だというプレッシャーを感じます。

冬の夜中、もし気づかぬうちにポロっと産み落としたりすると、羊水でぬれた体は冷えて、ホルスタインの子牛より体の小さい黒毛牛の子牛は、体力も少ないでしょう。そんな事態は絶対無いように、家族内でリンダの様子を特に気にかけてました。

そして今晩、仕事を終えた後の様子で、そろそろ産みそうだった。

10時ごろ、父ちゃんがいつもの分娩前に確かめるように、産道に手を入れて、子牛の体勢が正常かどうか確かめると・・・・・・

「もしかしたら子宮捻転かもしれない」

知識不足の僕はすぐにその症状がピンとこなかったが、産道と子宮の間がねじれ、子牛が出てこない状態のことのようだが、、、

もし、子宮捻転なら、母牛をトラクターで転がしてねじれを治す処置をしなければならない。

600kg以上もある母牛をそうするのは大作業だ、、、。どうなるのか大きな不安がよぎる。

すぐさま、急患の獣医に連絡を取る。

それと、この子牛の引き取り先の牧場の方のほうが、うちよりも、難産の子牛の処置を知っているということで、その肉牛牧場の方にも連絡を取る。

父ちゃんの話では、だいぶ前にあったうちの牛の子宮捻転では、産道に手を入れたときに、明らかに壁があったが、今回はあいまいだ。と言う。しかしET牛なだけに心配は大きい。

うちらで、できる限りの準備をして、十数分後、獣医が到着。

すぐさま、産道に手を入れ、状態の確認。

状態は・・・・・・・!

「大丈夫、正常ですよ!」

あぁぁ~、よかった!!本当に安心した!

(父ちゃんは正直、安心した気持ちと同時に複雑な心境だったそうで(^^;)

そのまま子牛の状態を確認すると、

「もう第1破水はしてて、第2破水はまだです。どうしますか?このまま自然に分娩させますか?それともこのまま引っ張り出しますか?」

僕には判断しかねる質問、親たちは、引っ張り出すと判断。

獣医が専門の道具(ロープ)を持ち出し、もう一度産道の中に手を入れる。その中で人為的に破水させ、子牛の前足にロープをかける。

そうしている時に、肉牛牧場の方(夫婦)が到着、ごめん、捻転じゃなかったわ~」と伝えると向こうも安堵の表情でした。

その中、獣医が手探りで子牛の体勢を安定させる。父ちゃんはリンダの尻尾が邪魔にならないようリンダの背中で手で押さえる。僕は子牛の前足にかかったロープを獣医の指示で弱く引く。

やがて獣医が産道内の子牛の首にもロープを引っ掛ける。子牛の首のロープを肉牛牧場の方に持ってもらい、さあこれで準備オッケー。

そしたら獣医から「産道が狭いですね~」ということで、獣医と父ちゃんが母牛の陰部に手をかけ、できるだけ抵抗が少ないように広げる。

この間、ずっと母牛のリンダは立ったままの状態です。普通は寝た状態で自然分娩か、少し助産する程度ですが、今回は人為的の出産ということで、このまま立ったままの分娩です。

さあ、獣医の指示と、リンダの息に合わせて3人でロープを引きます。

この時!僕は前回のET牛の出産と違うことに気づきました。

黒毛の子は小さいので前回は、スルっと、あっけない安産でしたが、今回は、3人がかりで引いても簡単に出てこない・・・!

産道が狭すぎなのか、子牛が大きいのか。なかなか陰部の外に子牛の前足が現れない・・・

やっと出てきた前足、そして母ちゃんが陰部の中に潤滑剤をつけ産道を滑らかにする。

ここにいる6人とリンダとその子牛、皆が息を合わせる。

顔が出て、、、体半分が出てきた、明らかに前回のET牛より大きい!

「子牛を回して!」

獣医の指示に、僕と獣医とで、子牛の体をひねりながら引いて、、、産まれたぁ!

。。。。。

ここからの肉牛牧場の2人の作業には圧巻でした。

産まれて間髪入れず、子牛を逆さにし、飲んでいるかもしれない羊水を出す処置し、そこに、口から口で直接子牛の羊水を吸いだす。

そして、酸欠で弱らないよう、携帯酸素ボンベで酸素を吸わせ、バスタオルで羊水を拭く。

僕も分娩後の処置は知っているとはいえ、割って入る間もなく、夫婦の2人で処置を行っていて、僕は子牛の顔と耳を少し拭いてあげることしかできませんでした(>_<;)

生まれたのがメスだとわかり、嬉しそうな2人、きっと繁殖牛になる予定なんでしょう。

産まれて10分ほどで、肉牛牧場の方は挨拶も早々に、子牛を大事に抱え、自分たちの牧場へと帰られました。

肉牛のことはさっぱりわからないのですが、このお二人から、肉牛を飼育することを少し感じ取った気がしました。

。。。。。

その間、母牛のリンダに異変が・・・!

どうやら、分娩の際、産道の狭さと子牛の大きさのために、産道内の上部に裂けた傷ができてしまっていた。

獣医が触って確かめると。中指が少し入るくらいの傷の深さだと言う。出血が少しひどいかも・・・と言って手で掻き出すと血が手一杯に出てきた。出血は外には出ずに産道内に流れ込んでいるみたい。

「止血剤を血管注射しますね、この薬はかなり効くのでしっかり止血されると思います」

といい、注射をしてもらう。

その後、獣医に体内に流れた血を手ですくい出すと、合わせたら小さなバケツ1杯分になるんでないかって量の血と血の塊が出てきた。見るからに痛々しい。

「そろそろ血が止まって大丈夫だとは思いますが・・・念のため」

と言って獣医が厚手のタオルをリンダの産道に入れ、血を吸わせてたら、リンダが息んだ瞬間にタオルも飛び出し、タオルの役目終了~。

リンダの状態が気になりましたが、顔の表情は心配することないって言ってるかのような元気な顔で、与えた味噌汁と栄養剤も、ものすごい勢いで飲み干しました。

翌朝には痛がるような様子はあっても、血も止まって一安心。

それから徐々に餌もしっかり食べられるようになって来ています(1月8日現在)

。。。。。

バァ~っと状況を書き並べましたが、慌しさで写真は撮っていられず(^^;)でも、この状況が少しでも伝えられるといいかな、長い文章、読んでくださった方、ありがとうございます。

書き上げるのに2時間かかったかいがありました(^^ゞ

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コメント

むらきちさん初めまして!
私のブログにお越しいただきまして、ありがとうございました!
リンダさんの出産大変でしたね。
私はまだ出産の現場はまだ2回ぐらいしか見たことがないのです。
それもするっと難なく出てきました。
それ以外はいつも、朝牛舎に行ったら黒い塊(産まれたばかりの子牛)がうごめいている!みたいな感じでした。
長くやっていると、いろいろな現場に出くわすのでしょうね。
むらきちさんの牧場にはいろいろな動物たちがいるのですね。
写真を拝見しているだけでもわくわくしてきちゃいました。
また楽しいお話見せてくださいね!
たのしみにしております。

投稿: ヨーコ | 2007年1月 9日 (火) 19:55

はじめまして。酪農家さんのブログを
探して楽しんでいます。
私は、畑作農家の嫁ですが、酪農が
好きで時々仕事させてもらってます。
旦那は、酪農ヘルパーもしています。

仕事の事を書こうとブログを始めました。
まだ、実家に帰省中なので何も書いて
ませんけど・・・

うちにもラブがいますが、ディスクに
興味がないのか、落ちてから拾ってきます。
結局やらないままですね。
たま、こちら覗かせていただきますね。

投稿: ジャージー | 2007年1月11日 (木) 15:05

ヨーコさんへ

コメントありがとうございます(^^)
僕も牛の出産は安産ばかりしか見てきてないから、
今回や逆子とかのような難産は、自分ひとりだとアワワアワワもがいてしまいますよ。
ヨーコさんもこれからきっと、いろんな局面に出会うと思いますよ(^^)
そんな時に、そちらのブログで、嬉しい体験談や、
アワワアワワした話、聞かせてくださいね~!

投稿: むらきち | 2007年1月11日 (木) 21:33

ジャージーさんへ

どうも~、はじめまして!お越しくださってありがとうございます!(^▽^)
同じ農業系の方からのコメントは、仲間が来てくれた様な気分で嬉しいです。

ハンドルネームから、ジャージー牛が好きなんですか~?(^^)
かわいいですよね、ジャージー牛。
とくに子牛は、一緒に添い寝したいくらい(笑)

畑と、牛の仕事がんばってください!
ジャージーさん、ブログはじめましたら、畑に牛にラブちゃんの話、見に行きますね(^^)

投稿: むらきち | 2007年1月11日 (木) 21:43

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